絶対値を含む不等式【数Ⅰ】
|x|=c (c>0)の解について考えてみましょう。
c>0という条件は絶対値は必ず正 ということから来てます。
このときxの符号は+かもしれないし、-かもしれません。
わからないのでどっちも考えてみます。
もしxの符号が+またはx=0のとき、数学っぽく言うとx≧0のとき、絶対値記号はそのまま外せます。よって
x=c
です。(x=0のときも| |をただ外すだけでいいのでx>0のときと一緒にまとめました)
xの符号が-、すなわちx<0のとき、絶対値記号は-を| |の中身にかけて外します(忘れた方は過去ブログhttp://mathematics-for-universe.hatenablog.com/entry/2017/03/25/093350をcheck!)。なので
-x=c
すなわち
x=-c
です。
まとめると
cが正の時
|x|=c の解は x=±c
となります。
絶対値を含む不等式
一般に、次のことが言えます。
c>0のとき
|x|<c の解は -c<x<c
|x|>c の解は x<-c, c<x
これは覚えなくてOKです。
覚えてればはやいですがあまり勧めません。
なぜならこんな間違え方をしてしまうからです。
[結論は偶然正解になりましたが、解答記述としては不正解です。]
何が違うか分かります?
上のように簡単に絶対値が外せるのは右辺が正のときだけです。
ですがこの場合、右辺が3xです。xが-100とかになって右辺が負になる可能性もありますよね。
だから簡易的に外すやり方でやると間違いなんです。
だから、この簡易的に外す方法に頼るより、原理原則に立ち返って絶対値を外した方が安全で確実です。
じゃあその「原理原則」とはなんでしょう。
それは
⑴絶対値記号の中身が正のときと負のときとで場合分け。
⑵正のときはそのまま絶対値を外す。
⑶負のときは中身にマイナスをかけて外す。
⑷⑵と⑶の結果を「または」でつなぐ。(つまり両方答えにする)
です。これは不等式でも一緒です。
では正答を見てみましょう。
[1]ではxの中身が正または0のときのことだけを考えます。
つまり、[1]ではx-4≧0という条件を設けます。
x-4≧0のときx≧4なので、[1]の中での解は最低でもxが4以上である必要があります。
絶対値を外して解いていくと、x<-2となってx≧4をみたしません。
なので「[1]で決めた条件の下では解はない」と結論します。
同じように[2]ではx-4が負、すなわちx<4という条件を設定します。
解いていくとx<1という答えが出てきます。
このとき、x<4とあらかじめ設定してあるので、これも満たすように答えなければいけません。
なので[2]での解はx<1となります。
そして、求める答えは「[1]または[2]」なので、両方の答えを解とします。
今回はたまたま[1]が解なしだったので、答えは[2]の解になります。
どうでしょう。
原理原則に立ち返れば、たとえそれが簡易的に絶対値記号を外せる問題だとしても、そうでないとしても、絶対値記号を外せます。
だからこの絶対値を含む不等式は、原理原則に忠実に解いてください。
今回はここまで。
それではまた次回お会いしましょう。さようなら。
1次不等式と連立不等式【数Ⅰ】
1次不等式の解法
一言でいいます。
1次方程式と同じです。(※ただし不等号の向きに注意!!)
まあ、練習問題を通してみていきましょう。
[訂正]「不等号」の「号」の字を間違えてしまいました...すみません。
1次不等式と同じように左辺に文字を含んだ項を、右辺に定数項を移項します(もちろん左辺と右辺は逆でもOK)。
そして1次不等式と同じように、左辺がxだけになるように式変形して終了です。
連立不等式
2以上の不等式が連立された連立不等式は、数直線を駆使します。
これは一例ですが、数直線では不等式をこのように表すことが多いです。
では、実際に問題をやってみましょう。
これは2本の1次不等式を連立させた連立不等式です。
まず、この2本の不等式をそれぞれ解きます。
そうすると、黄色の四角の中のようになります。
ここで気を付けるのが{ は「~かつ・・・」という意味だということです。(後で集合の範囲で詳しくやります)
「~かつ・・・」なので、①でもあり②でもあるxの範囲がこの連立不等式の解です。
①でもあり②でもある範囲は、2つの不等式を数直線にかいたときに重なる部分(範囲)です。ちなみに重なる部分がないとき、「解なし」といいます。(解がない、という答えです。「解」と「答え」は違うんですねえ)
もう1問。
前回のブログの言葉を借りますね。
この問題は自分で「和訳」してみましょう。
この問題のポイントは「分けて考える」ことです。
今回はここまで。
それではまた次回お会いしましょう。さようなら。
1次不等式の性質【数Ⅰ】
お久しぶりです。
最近忙しく、なかなか更新できませんでした。
新入生はそろそろ高校の勉強が本格的にスタートした頃でしょうか。
新年度、勉強頑張りましょう。
それでは不等式に入ります。
1次不等式の性質
1次不等式において次が成り立ちます。
教科書や参考書にはこんな感じにまとめられています。
②とか訳わからないですよね。
ということで、ちょっと書き直してみます。
どこが変わったかわかりますか?
言っていることは同じなのですが、直感的にこっちのほうがピンとくると思うのでぜひこっちで覚えましょう。
では、ひとつひとつ見ていきましょう。
最初の推移律はその通りです。
当たり前といえば当たり前です。
①ですが、簡単に言うと「移項できる」ってことです。
もうちょっと踏み込むと「足し算・引き算は等号と同じように計算してもいいよ」ということです。
面倒なのは②です。
-2と100を例にとって考えてみましょう。
こんな感じで、不等式の
両辺に正の数をかけたら大小関係はそのまま、
負の数をかけたら大小が入れ替わる(不等号の向きが逆になる)
ということを②で言っています。
ここ、計算ミス多発するので注意しましょう!
少し話題はそれますが、
こういう性質や公式などが出てきたときは先生や参考書に解説されますよね。
僕はこれを「日本語訳」だと思っています。
僕らはたいてい、英語を読むときには和訳をします。(英文のまま頭にイメージできるのがベストですし、長文読解ではその力も求められますが...)
ハリーポッターだって翻訳されて出版されます。
それは、たいていの人は日本語に直した方が理解できるからです。
ですが、物理や数学で「公式」という「異なる言語」が出てくると、なぜかほとんどの人は「異なる言語」のまま、ただ覚えようとします。「エーニジョウプラスビーニジョウイコールシーニジョウ、エーニジョウプラスビーニジョウイコールシーニジョウ、エーニジョウプラスビーニジョウイコールシーニジョウ、、、、、」といった具合に。
数式は言葉です。
もう一度言います。
数式は「理科と数学の世界で使われる外国語」です。
いったん「和訳」をして、じっくり理解してみませんか?
それだけで数学力は変わります。
「エーニジョウプラスビーニジョウイコールシーニジョウ」と覚えるのではなく、「直角三角形の斜辺以外の長さを2乗して足したら斜辺の長さの2乗になる」と覚えるんで
す。
それだけで世界が変わります。
今回はここまで。
それではまた次回お会いしましょう。さようなら。
2重根号【数Ⅰ】
2重根号
のように、ルートの中にルートがあるときがあります。
(これは3重、4重.....と無限に増やせます)
このように根号が2重になっている場合、
根号が2重でない簡単な形にできるときがあります。
必ずできるわけではありません。
2重根号について、次のことが成り立ちます。
以下、証明です。
パソコンで作るのが面倒だったので申し訳ありませんが手書きです←オイ!
この公式も暗記しますか?
答えはNOです。
絶対忘れます。
しかもこんなの公式忘れたらおしまいです。(見た目がやばいから 笑)
だから、導出の仕方を理解しましょう!
忘れても公式を出せるようにしましょう!
(公式はすぐ忘れますが、不思議なことに導出の仕方はしっかり理解していれば忘れないものです)
簡単に大雑把に解説します。
[訂正]√の中が正になる→√〇が必ず正になる
(√a+√b)2を展開して両辺にさらにルートをつける。これだけです。
(左辺と右辺がイコールなんだから、両辺の正の平方根もイコールですよね♪)
見た目の複雑さほど導出は難しくありません。
せっかくなので問題をやってみましょう。
公式にただ突っ込むだけの問題はやりませんよ!
ちょっとひとひねり必要な問題です。
参考書にはたくさん類題があるのでやってみましょう。
今回はここまで。
それではまた次回お会いしましょう。さようなら。
有理化【数Ⅰ】
有理化
有理化:分母に根号が含まれない形に変形することを、分母を有理化するといいます
有理化では、2次式の展開の公式(展開公式【数Ⅰ】 - 宇宙を歩く高校数学 基礎)の②を使います。
これをうまく使うと(√〇+√△)(√〇ー√△)=〇ー△ となり、
きれいにルートが外れます!
では、具体的なやり方を例題とともに見ていきましょう。
赤文字は解答記述に普通現れない部分です。
ですが、赤文字の部分が最も重要です。
赤文字は考え方の部分(だから普通書かない)、
黒文字はその考え方にのっとった計算の部分です。
まず(1)です。
分母に√5 をかけてやれば分母のルートが外れます。
でもただ分母に √5 をかけるだけだとをかけることと同じなので
値が変わってしまいます。
ではどうしましょう?
1をかけても値は変わりません。
ならば、(これって1ですよね?)をかければ
値も変わらず分母からルートが外れませんか?
というわけで(1)の解答のようになります。
これ以外はただの平方根の計算なので練習して慣れましょう。
では(2)。
ここでは分母の 3-√7 が消えてほしいので、展開公式を利用して分母が消えるように、(1)と同じようにしてをかけます。
あとは計算していくと見事分母からルートがなくなります。
最後に(3)。
分母の項が3つ。
これがうまく消える展開公式は知らないですよね。
僕もぱっと思いつきません。
ではどうするか。
ここでも例の展開公式を使いましょう。
「でも項3つあるので使えません」ですって?
まあ、そう固いことを言わずに。
2+√3 と √5 に分けて例の公式を使います。
そうすれば、解答の2回目の赤文字達の直前の式になります。
でもまだ分母にルートがある。
だったら、もう一度有理化しましょう!!
そうして計算をしていくと見事最後は分母に根号がなくなります。
どうですか?
最後の問題なんか面倒ですが、
一気にやろうとすると分からなくなります。
一つ一つ、できる形に無理やりもっていって
何段階にも分けて有理化しましょう。
今回はここまで。
それではまた次回お会いしましょう。さようなら。
平方根の定義・性質【数Ⅰ】
平方根の定義
平方根:2乗するとaになる数、すなわち x2=a となるxをaの平方根といいます。
√a :aの正の平方根(ルートaと読みます)
-√a :aの負の平方根
ここで注意してほしいのは「平方根≠ルート」ということです。
平方根のうち正のものを「ルート〇」と呼ぶんです。
これが間違えやすく重要なので気を付けましょう。
また、√0=0と定めます。
厳密には0は正でも負でもありませんが、この√0=0という性質から、以下では便宜上あたかも0が正であるかのように書きますがご了承ください。
ちなみに.....
「負の平方根」ってわかりますか?
例えば、
「2乗して4になる数」は何でしょう?
22=4 だから4の平方根は2
これは間違いです。
どうしてでしょう?
では試しに -2 を2乗してみましょう。
(-2)2=(-2)×(-2)=4
4になりましたね。
てなわけで4の平方根は ±2(+2と₋2をまとめてこう書きます)です。
この例に限らず、
(正の数)×(正の数)も(負の数)×(負の数)も正の数になります。
ですので、一般的にどんな正の実数も正の平方根と絶対値が同じ負の平方根をもちます。
平方根の性質
平方根は次の性質が成り立ちます。
なにやら面倒くさそうですね。
これを全部覚えますか?
無駄です。
全然覚えなくてOKです。
というのは、考えれば当たり前のことだからです。
定義さえ知っていればいいんです。
「そんなこと言われてもわからないよ」なんて言わずにひとつずつ見ていきましょう。
まず➀。
これって冒頭で説明した「平方根の定義」を数式にしただけです。
➀の一番右は「ルートがついてるやつは正ですよ」ってことです。言い方を変えると「正の平方根はルートをつけて表しますよ」ってこと。
左と真ん中は「正の平方根も負の平方根も2乗すればルートの中の数になりますよ」って意味です。2乗すればある数になるものを平方根っていうんだから当たり前ですよね。
次に②。これは少しわかりづらそうですね。
ではまず、2乗してa2になる数って何でしょう?
答えは±aです。
ところで、+aと-a、どっちが正の数でどっちが負の数だと思います?
「馬鹿にすんなよ。+ってついてる方が正で-がついてる方が負だよ。」
本当にそうでしょうか?
aが正の数って一言も言われてないし負の数ともいわれてない。aが正であれば合ってるけど、aが負だったら答えは逆になりませんか?
よってこのままでは判別不能なんですねえ。
でも「わかりません」って答えは嫌ですよね。
だから数学では「場合分け」ということをします。
場合分けって何でしょう?
この例では「aが正のとき」と「aが負のとき」で答えが変わります。
だから答えが出せない。
だったらaが正のときと負のときとで別々に答えを出せばいいんじゃね?
こういう考え方が場合分けです。
そこで、場合分けして答えると
a≧0のとき +a≧0、-a≦0
a<0のとき +a<0、-a>0
(※正負を不等号で表しました。この表し方も慣れましょう!)
ここまで来たらもう終了も同然。
では、a2の正の平方根は何でしょう?
そうです。
a≧0のとき a
a<0のとき -a
です。
➁の1行目はこのことを書いてます。ルートは正の平方根のことでしたよね?
そして最後の行について。
a2の正の平方根は?という問の解答
a≧0のとき a
a<0のとき -a
これ、どこかで見たことありませんか?
前回(絶対値【数Ⅰ】 - 宇宙を歩く高校数学 基礎)の絶対値の外し方と全く同じです。
だから➁の最後の行になるんですなあ。
かみ砕いて説明した(つもり)のでだいぶ長くなりました。
ですが、この説明をくまなく理解してください。
丸暗記よりよっぽど価値があります。
「覚えた方がはやい」って人もいるかもしれません。
でも数学は暗記じゃない、とたびたび言いましたが
こんなの覚えるものでもないです。
覚えるだけ無駄です。
だって定義を数式にしてるだけなんですから、
これを覚えるってことは最初に覚えた平方根の定義と同じことをもう一度(別な形に変身したものを新たに)覚えるということです。
そういわれると時間の無駄な気がしませんか?
数学では暗記より理解を大事にしてください。
そうすれば公式なんて忘れても瞬時に導けます。
そして何より暗記型よりよっぽど効率がいいので時間も浮きます。
その無駄な暗記に費やしている暇があったら英単語でも覚えてください。
大変長くなりました。お疲れ様です。
それではまた次回お会いしましょう。さようなら。
--------------------------
数学に関する質問をお待ちしております。
僕が解ける問題であれば真摯に対応いたします(苦笑)。
mail→mathematics.for.universe@gmail.com